研修生の就農・就業率はほぼ100%。山口県の「担い手養成研修」で確実な就農を

PR

山口県では、農業を志す人に向けて「担い手養成研修」を実施しています。対象は、県内で就農を目指す全ての人。農業未経験者も多く、一年間のフルタイム研修で基礎から学べます。研修後は現地研修や地域の支援制度へスムーズに移行でき、就農・就業率はほぼ100%。また、県独自の補助金制度や社会人向け研修など、「担い手支援日本一」を掲げた支援体制が整っています。
担い手養成研修と山口県での就農の事情について、山口県農林総合技術センター社会人研修室の重藤主幹と、山口県農業振興課の兼常主査にお話を伺いました。

一年間フルタイムの研修


――まず、担い手養成研修の対象と内容について教えていただけますか。

重藤主幹:
対象は、山口県内で農業をやっていくと決めた人です。実際に研修生になるのは、農業経験がある人も、全くない人もいますね。ただ、私たちは短期の研修も行っていますし、県内の各市町でも体験研修や農業の見学会などを開いていますので、なるべくそういった経験をしてから担い手養成研修に入っていただきたいと思っています。

実際の研修は、ほぼ一年間フルタイムで行います。基本的に平日の朝8時半から夕方5時15分までですね。農作業と講義を組み合わせた内容になっています。定員は35名です。

――一年間の担い手養成研修を受けた後はすぐに就農する方が多いのでしょうか。

重藤主幹:
そういう方もいらっしゃいます。ただ、私たちがおすすめしているのは、担い手養成研修を終えた後、ご自身の就農したい場所で現地研修を一年間受けることです。現地研修に関しては、各市町で相談に乗ってくれます。

――農業は土地によって適する品目が異なってくるので、現地研修は大事でしょうね。ところで、研修生の皆さんは自宅から農業大学校まで通って来るのですか。

重藤主幹:
そうですね、ほぼ通いです。遠方にお住いの方の中には、農業大学校の寮に住んで研修を受けている方もいます。

希望の品目で研修を受けられる

――山口県は温暖なイメージがありますが、農作物は一年中育てられるのでしょうか。

重藤主幹:
品目によりますが、私たちの研修施設は温暖な瀬戸内海に面した防府市にありますので、通年で何かしら育てることはできます。当然、品目によっては夏だけ、冬だけにしか育たないものもありますので、それらを組み合わせて研修を実施しています。

――代表的な品目を教えて頂けますか。

重藤主幹:
施設園芸で言えば、イチゴ、アスパラガス、トマトあたりですね。土地利用専攻のコースだと、大豆、米、麦、露地野菜ですね。
露地野菜は研修生の希望に応じて、キャベツ、タマネギ、ネギ、はなっこりーなどを植えます。

――ちなみに、山口県の農業として特産の品目は何かあるのでしょうか。

兼常主査:

実は、山口県は他県と比べて産地規模が小さく、重藤主幹が言うようなイチゴ、アスパラガス、トマトなどが産地としてあげられます。
中山間地と沿岸部では栽培に適した品目が違ってくるので、担い手養成研修となる方の事情に応じた研修を行えるような仕組みにしています。

――では、研修では毎年柔軟に品目が変わってくるんですね。

重藤主幹:
そうですね。毎年研修生の希望によって、研修での栽培品目が異なってきますね。

担い手支援日本一の山口県で就農

――山口県で新規就農する年代の傾向はありますか。

兼常主査:
「定年帰農」の傾向があり、最近では50代・60代が増えている印象がありますね。

重藤主幹:
担い手養成研修を受ける方は20代もいますが、今年は50代・60代が多くなっています。就職が売り手市場で、若い人には仕事がありますからね。

――確かに、若い世代が就農を希望するかどうかは景気に左右されがちですね。そんな中、山口県内では就農先を容易に見つけられますか。

兼常主査:
山口県は集落営農法人が他県と比べて多いのですが、その担い手が高齢化してきており人手不足なので、とても需要はあります。
県全体としては、農業法人へ従業員として就農する方が多いですね。

重藤主幹:
担い手養成研修生に関しては、自営就農を目指す方が多いです。実際に、就農率はほぼ100%です。
中には研修中にリタイアされたり、就農後に辞める方もいますが、皆さん本当に就農するつもりで研修を受けていますので。

――志のある方が農業の担い手になってくださると心強いですね。県としても就農を後押しするような制度はありますか。

兼常主査:
山口県は「担い手支援日本一」と掲げて、国による就農支援に県独自で上乗せする制度を構築しておりまして。就農する際に必要になる機械や施設に対しても支援をしています。
あと、柱となるのが社会人研修ですね。就農前の研修制度がしっかりしていますし、就農後もフォローするような研修をたくさん準備しています。
県内で就農される方が一人でも多くなるように、県としても力を入れて施策を打っております。

――ぜひ若い人にも山口県での就農を検討してほしいですね。ありがとうございました。