生産年齢人口の減少の課題

少子高齢化の進展により、日本の生産年齢人口(15~64歳)は1995年をピークに減少が続いています。

内閣府による2021年の報告書によると、約30年後の2050年には、生産年齢人口は約5,000万人(2021年から33.3%減)に減少すると見込まれており、またその影響で以下の問題がより深刻化されることが予測されます。

生産年齢人口の減少がもたらす問題

1)労働力不足事業を営む際に必要となる労働力が慢性的に不足する可能性。
中小企業・地方企業では事業継続が難しくなるケースも考えられる。
2)社会保障制度の維持困難生産年齢人口が減少し、高齢者人口が増加することによって、社会保障制度を支えている現役世代一人当たりの負担が大きくなり、制度の維持が困難になる可能性。
3)地域経済の衰退主に地域住民および企業の活動によって支えられている地域経済が、生産年齢人口の現象によって衰退する可能性。
4)イノベーションの停滞若者世代の減少とあわせて新しいアイデアを生み出す人材が減少し、イノベーションが停滞する可能性。
5)社会の活力低下社会活動(社会のために貢献をする行為またはその集まり)に参加する人が減少し、社会全体の活力が低下する可能性。

最も大きな因子は、「出生率の低下」に伴う少子化

生産年齢人口減少のもっとも大きな要因は、国内の出生率の低下による「少子化」です。

現在(2024年)の国内の出生率は、およそ「1.4」です。

この数値のままでは、生産年齢人口はペースを変えることなく減少し続けてしまいます。

仮に出生率が「2.07」以上まで回復した場合、人口の減少ペースは止まるといいます。

画像引用元厚生労働省「図表1-1-7 出生数、合計特殊出生率の推移」

生産年齢人口減少における課題解決

生産年齢人口減少・少子化に向けての主な対策

生産年齢人口減少および少子化に向けて、国が掲げている対策は以下の3つです。

  • 1)児童手当など経済的支援の強化
  • 2)学童保育や病児保育、産後ケアなどの支援拡充
  • 3)働き方改革の推進

これら対策(とくに1)や2))において、出産・育児手当や児童手当はじめ、新しい法令の策定や整備が進んでいることは多くの人がご存じのとおりです。

ですが、2024年現在において、これら対策によって「出生率が大きく改善された」という情報はまだ入ってきていません。

また、海外に目を向けてみると「家族政策に不介入が基本」とされているイギリスやアメリカのほうが、日本よりも高い出生率を維持できています。

生産年齢人口の減少、出生率の低下を改善するうえで、有効な施策として「(家庭と仕事の)両立支援」および「共働き世帯を増やすこと」を提唱する専門家は多いです。

ですが、実際にそれらを取り組むのは私たち個人です。私たちがそうした働き方や生き方を前向きに捉え、かつ将来に対して希望を持てていなければ、施策を地域・国単位を活性させていくのは難しいでしょう。

上に挙げた3つの対策は「生産年齢人口減少における課題解決」に向けて必須で取り組むべき事案でありつつも、状況を好転していくためのピースは充分ではないと見るべきでしょう。

私たち個々人の意識を変えていくこと

生産年齢人口減少・少子化の状況を好転していくために、現在欠けているピースとは何でしょうか。

ひとつ挙げられるのは、私たちの「意識」です。

先に挙げた生産年齢人口減少における問題からは、私たち個人は以下の不安を抱きやすくなります。

ワークライフバランスの困難化労働力不足により、長時間労働や休日出勤が増加し、仕事と生活の両立が困難になる可能性。
将来への不安将来の経済状況や社会保障制度の不安から、将来への不安を感じやすくなる可能性。
選択肢の減少労働力不足や社会保障制度の維持困難により、個人の選択肢が減少する可能性。

国内の多くの人たちがこれら不安を抱えている状態で、出生率の改善は見込めないでしょう。

不安が大きくなるほど、若者の結婚や出産などのライフイベントを躊躇しようという意識も高まってしまうからです。

現在すでに少なくない人が抱えているであろう働きづらさや生きづらさという意識を、「自らの行動によって、望む将来を実現できる」という意識に変換させていくことが、出生率、そして生産年齢人口減少の課題を解決するための、もっとも大きな因子であると、私たちは考えます。

私たちの使命

当法人は、以下の使命(ミッション)を掲げています。

働き方・キャリアについて、人々に新たな可能性と選択肢を提供すること

生産年齢人口の減少、出生率の低下を改善するうえで、最も大切なのは私たち自身が「この問題は、解決できる」と希望を持てていることです。

そして、希望を持つために必要なものとは、一人ひとりが自身の現在・将来に対して「可能性」と「選択肢」を描けるための想像力です。

一方で、「働くということは、こういうもの」という普遍的な概念が失われつつある現代社会で、自分自身の可能性や選択肢を想像することに大きな難しさを感じる方は多いです。

そのために私たちは、これから社会で活躍する人たちに向けて、働き方・キャリアにおける可能性と選択肢を提供し続けることを目指しています。