和歌山市 移住定住戦略課_森島大介さんに訊く:「住み心地の良いまち」を目指して 和歌山市が描く移住支援の未来図

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日本が直面する、少子高齢化と人口減少の波。あらゆる市町村で人口減少が懸念され、持続可能なまちづくりが大きな課題となっています。そのような中、和歌山市は交通の利便性や豊かな自然環境、地域の温かさなどの特長を活かし、移住希望者を積極的に受け入れる施策を展開することで、新たな可能性を切り開いています。

今回は、和歌山市 市長公室 企画政策部 移住定住戦略課の森島大介さんに、和歌山市の移住支援に関する取り組みの全貌をお話しいただきました。森島さんが語る和歌山市の移住支援は、移住前のサポートから実際の暮らしを試せるトライアル制度、移住後のフォローに至るまで幅広く、移住者が安心して新生活をスタートできるように行政と地域が一体となって支える内容が特徴です。また、これらの施策が人口維持と地域経済の活性化という重要な社会課題に対し、どのように応えているのかまで実例に基づきながらご紹介します。

和歌山市が描く「住み心地の良いまち」の未来図は、移住者一人ひとりの不安を丁寧に解消し、地域社会全体の活力を高めることで実現しつつあります。森島さんのお話を通じて、まちの魅力や取り組みの意義、そして移住者の実体験を知り、和歌山市がいかに新たな暮らしの選択肢として魅力的であるかを感じていただければ幸いです。

画像引用元:Map-It マップイット(c)

都会×田舎の魅力が共存する和歌山市 移住者に選ばれる「トカイナカ」

磯ノ浦海水浴場

和歌山市は和歌山県の北西部に位置し、県内人口の約4割が暮らす県庁所在地です。アクセスの利便性が大きな特徴で、JR和歌山駅や南海電鉄の和歌山市駅から大阪の中心地へは電車で約1時間、さらに関西国際空港へも車やバスで約40分と、国内外への移動が非常に便利です。東京から訪れた方々からも「意外と近く感じました」と驚かれるほど、アクセスの上において高い利便性があると感じています。

また、和歌山市北部には雄大な山々の景色が広がっていて、西側は海に面しているため、街中にいながら山と海に囲まれた自然豊かな環境が楽しめる点も魅力です。自然が身近にある一方で都市部へのアクセスも良好なため、「田舎すぎず、都会すぎない」ちょうど良い、住み心地の良いまちとして高く評価されています。

市内のおすすめスポットとしては、例えば和歌山城があります。歴史的な佇まいが魅力の城内には動物園も併設されており、観光客や市民に親しまれています。

市民図書館「絵本の山」

また、和歌山市駅周辺は再開発が進んでおり、親子で楽しめる公的施設が充実しています。新たにオープンした市民図書館の館内にも、「絵本の山」という山のような形の本棚は、子どもたちが登りながら好きな本を選べる仕掛けになっていて、多くの親子連れで賑わっています。

さらに、自然と触れ合えるスポットも充実しています。「道の駅 四季の郷公園 FOOD HUNTER PARK」では、緑豊かな環境の中で親子で自然と食を楽しむことができます。また、市内には5つの海水浴場があり夏季のマリンレジャーも楽しめます。いずれも大規模な駐車場が用意されており、家族連れにも利用しやすい環境が整っています。関西でサーフスポットとして有名な磯の浦海水浴場は、初心者から経験者まで幅広い人々から人気を集めていますね。

このように、和歌山市は自然と都市機能が調和した住環境を持つまちです。子育て支援施設や公共施設の充実も進んでおり、「住み心地の良さ」が移住先としての魅力を高めています。都会の利便性と自然の安らぎを兼ね備えた和歌山市は、多くの人にとって理想の暮らしを実現できる場所なのではないでしょうか。

データが示す移住の手応え 和歌山市の取り組みと今後の課題

雑賀崎漁港 地中海を想わせる景色

住民基本台帳に基づくと、和歌山市の総人口は2024年11月時点で約35万3,465人です。性別で見ると男性が16万7,340人、女性が18万6,125人と、女性の割合がやや多い状況にあります。とはいえ、全国の傾向と同様に和歌山市でも少子高齢化が進んでおり、大きな課題となっています。

以前は2040年までに人口30万人を下回らないことを目標としていましたが、現在は2050年まで人口30万人を維持することを目指し、持続可能なまちづくりのためのさまざまな施策を進めています。

令和3年度には、移住専用相談窓口として「移住定住戦略課」を設置して以降、移住相談件数や移住者数が増加しています。それ以前は他部署が移住相談を担当していましたが、専門窓口を設置したことで、より本格的かつ迅速な対応が可能となりました。

具体的な実績として、令和3年度には移住者が77世帯140人、令和4年度には99世帯194人、令和5年度には92世帯170人と、毎年一定数の移住者を迎え入れることができています。
家族世帯や単身世帯等、世帯構成によって人数が変動することから、年度ごとに変動は見られるものの、移住相談件数は年々増加傾向にあり、移住への関心が高まっていることが伺えます。

また、移住者数の把握については、移住相談を通じて接点を持ち、実際に和歌山市に移住したことが確認できた方を計上しています。、中には、相談を介さずに移住される方もいると思いますので、どのような理由で市に転入されたのかを把握できるようアンケートを活用したデータ収集を進めています。このような取り組みを通じて移住者に関する詳細な情報を収集し、さらなる施策の改善や効果的な支援に役立てていきたいです。

移住者を支える ワンストップサポート

交通の利便性が良く都心部と繋がっていられる感覚で安心感があり、そこは多くの方から評価していただけるポイントとなっていますが、豊かな自然環境も和歌山市の大きな魅力です。美しい山や海の景色に癒され、地域の自然に惹かれて移住を決める人も少なくありません。また、地元の人々の温かさに触れ、地域社会の人情味や安心感を感じたことが移住の決め手になったという声も多く寄せられています。

移住希望者をサポートするために、和歌山県全体で取り組む「移住ワンストップパーソン」の制度を活用しています。この制度は、県内の全市町村に最低1人の移住相談員を配置し、県外からの問い合わせに対応するという仕組みです。
移住を検討している方々からの「地域の暮らしについて知りたい」「具体的な支援はあるのか」などの質問に応えるだけでなく、一人ひとりのニーズに合わせたサポートを提供しており、私自身も移住ワンストップパーソンとして、令和5年度からこの制度に携わっています。

サポートの具体例としては、移住希望者の要望を丁寧にヒアリングした上で、住みたい地域や興味のあるエリアを実際に案内しています。車がなくても生活できるかどうか、海辺の暮らしが現実的に可能かといった移住に関する疑問に対して、現地で確認しながら具体的にご案内します。医療機関や買い物の利便性など、日常生活には欠かせない要素や地域の人々の暮らしぶりについても一緒に見て回り、移住後の生活を具体的にイメージできるよう支援しています。
さらに、希望に応じて地域の求人情報を紹介するなど、生活基盤を築くための具体的なサポートも行っています。このようなきめ細かな対応をはじめとして、和歌山市での新しい暮らしを前向きに検討できる環境が整っているかと思います。移住希望者の不安を解消しながら、一歩を踏み出す手助けになっていれば幸いです。

移住希望者に安心の第一歩!和歌山市のトライアル滞在プラン

和歌山市は、東京や大阪で開催される移住フェアや相談会にも積極的に参加しています。こうした場での情報提供はもちろん重要ですが、実際に和歌山市に足を運び、地域の雰囲気を体感していただくことが移住を検討いただくうえで大切ではないかと感じています。

そこで、和歌山市では「トライアル和歌山市活動費支援金」という制度を設けています。この支援金制度は、県外在住の方が和歌山市内に3泊4日以上滞在し、所定の活動を行った場合に、交通費や宿泊費、コワーキングスペースの利用料などの対象経費を補助するというものです。一人当たり最大3万円(補助率1/2)の支援を受けられるため、和歌山市での暮らしや仕事を気軽に試すきっかけとして活用いただいています。
滞在期間中は市内4か所に用意されたお試し居住施設を拠点に実際の暮らしを体験したり、地域の方々と交流したりすることで、和歌山市での生活をより具体的にイメージすることができるようになっています。

さらに、市内の事業者を訪れて仕事を体験することができる、いわゆる就業体験の機会も提供しています。まとまった期間滞在して日常生活を体験することで、生活や物件の検討だけでなく、和歌山市ではどのような働き方が可能なのか市民の目線から見ることができるのではないでしょうか。

また、子育て世代向けには実際の学校生活を体験できる「トライアルスクール」の制度も整備しています。子どもが実際に学校に通い、クラスメイトや教師と交流することで新しい環境に馴染めるかどうかを確認できるため、親子で移住を検討している方々にとっての安心材料となっている取り組みです。

そのほかには、市内の空き店舗を活用した短期間のトライアル出店も支援対象としており、県外にお住まいの出店希望者が事業の可能性を試す機会を後押しできるよう支援しています。支援メニューをご利用いただいた方の中には、商店街の空き店舗を活用した出店イベントに参加された方もいました。
「将来自分でお店をやってみたいけど、構想が練り上がっていない」「まずは短期間やってみて、出店できそうか感触を確かめたい」「何か足りないものはないだろうか」といったお悩みに応え、事業計画を検討する機会を作ることで、将来の出展・移住・定住へとつなげていきたいと考えています。

これらの取り組みは、移住希望者が抱える不安や疑問を解消し、「和歌山市での生活を具体的にイメージできる」という声につながっています。

「まずは一度現地に行ってみよう」というきっかけを提供し、和歌山市の魅力を実感してもらい、移住先として選んでいただくための可能性を広げています。また、こうした制度を利用した移住者が増えることで地方移住へのミスマッチを減らし、長く住み続けてもらえるように移住前の支援を続けています。

和歌山市が描く移住支援の次なる一歩 安心と共生のまちづくりへ

ワンストップパーソンのお仕事密着動画

和歌山市では移住者が地域に馴染みやすいように移住後にもさまざまなフォロー体制を整えています。その一例として、移住者同士の交流を促すコミュニティづくりがあります。この取り組みは移住者の声を受けて事業として起業された方が運営しており、ランチ会や地域案内イベントなどを通じて移住者同士がつながる場を提供しています。

また、市内にはお試し居住施設のほかにコワーキングスペースもあり、さまざまなバックグラウンドを持つ人たちが集まる環境が整っています。新たな挑戦を目指す方にとって、これらの場所での出会いや交流が刺激となることも多いはずです。こちらも興味のある方には各ニーズに合わせたスポットをご案内しています。現地を訪れることで、雰囲気を感じながらご自身の生活や活動を具体的にイメージするきっかけになればと思います。

起業を考えている移住者に対しては、公益財団法人わかやま産業振興財団をはじめとする起業支援団体と連携しながら、情報提供や相談の場を提供しています。市内には起業支援のための相談窓口があり、悩みや課題を抱える方が適切な支援を受けられるように専門機関の紹介やフォローアップを行っており、移住者が安心して事業をスタートできる環境を整えています。

また、移住相談窓口でも、移住後に安心して新しい暮らしを始められるようにフォローを続けています。市としてすべての移住者に個別アプローチを行うことはなかなか難しいため、窓口を積極的に活用していただけると、私たちとしても非常に嬉しいですね。

ちなみに、私自身は和歌山市出身であり、現在も市役所に勤めながら地元で暮らしています。就職活動をしていた頃から「地元で働きたい」という漠然とした思いがあり、現在の仕事を通じて地域に貢献できていることを誇りに感じています。

移住支援に携わる中ではさまざまな背景を持つ方々と接し、どのような方が和歌山市に興味を持たれているのか、また、どんな思いで移住を考えているのかなど、人々の思いに触れられることが貴重な経験です。関わる移住者の方々のお役に立てることが、仕事の大きなやりがいとなっています。

また、和歌山市の魅力を広く知っていただくために、プロモーション活動にも力を入れています。私自身もYouTubeなどのメディアに出演し、移住相談の担当者として顔を見せることで、相談者が安心して問い合わせできる環境を作ることを心がけています。「顔が見えることで相談のハードルが下がった」「不安が減った」という声をいただくことも多く、この取り組みの意義を実感しているところです。

和歌山市では、移住前から移住後まで幅広いサポート体制を整えています。この取り組みを通じて、多くの方々に「和歌山市を選んでよかった」と感じていただける環境づくりを目指し、これからも努力を続けていきたいと思っています。

和歌山市 関連リンク

・和歌山市シティプロモーションメディア Wakayama City Life
・Wakayama city life 動画 Wakayama City Life YouTube
・和歌山市での「しごと体験
・和歌山市移住テーマソング “Wakayama City Life”