海と山と川が街中から徒歩30分圏内:移住希望地として人気度が高い沼津市

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地方への移住希望地ランキングで、ここ数年連続1位を獲得している静岡県。年間を通じて温暖で、首都圏へのアクセスも良いとして、移住希望者から人気を集めています。

そんな静岡県内の市町でも、官民連携で移住希望者への支援を積極的に進めているのが、県東部にある沼津市です。移住希望者が実際に移住を決めるまでに必要とする情報は、住まい・仕事・子育てなど、多岐に渡ります。沼津市では、民間事業者の力も借りることで、これまでは役所だけでは対応が難しかったニーズにも幅広く応えられる体制を構築しています。今回は、沼津市役所 政策企画課 移住定住推進室の浅野さん、こども未来創造課の望月さん、商工振興課の石渡さんの3名に、沼津市の施策や魅力について詳しくお話を伺いました。

沼津市の概要

――沼津市の特徴を教えてください。
浅野さん:静岡県東部に位置する沼津市・三島市・裾野市・長泉町・清水町といった地域は「東駿河湾地域」と呼ばれており、沼津市は、、伊豆方面への交通の拠点であったり、商業や文化の拠点にもなっています。人口は約18万人で、静岡県内では4番目に人口が多い市町になります。
平成17年に平成の大合併と言って、いろんな市町村・自治体が合併したんですが、その時に沼津市の南側にあった戸田村というところと合併して、今の市が出来上がったような形になります。
静岡県全体として、1年を通して温暖な気候であることも特徴です。中でも沼津市は海と山と川が街中から徒歩30分圏内ですべて行けるような、自然豊かな場所でもあるんです。昔は商都沼津として栄えていたので、現在も駅周辺は商店街やスーパー、ドラッグストアなど生活必需品が充実していますし、ちょっと離れると大型商業施設もあります。
首都圏ほどではありませんが、田舎暮らしにも関わらず、移住してもそれなりに生活のギャップは少なくて済むような環境になります。

市のホームページにはより詳細な内容が載っているので、私の話にプラスしてウェブサイトでも情報をご確認いただければと思います。

――市内の移動には、どういった交通手段が利用できるのでしょうか。

浅野さん:電車に関してはJR東海道線と御殿場線の2つが主になっていまして、加えてバスとタクシーがあります。基本的に車社会なので、首都圏ほどバスの本数はないんですけど、沼津駅南口からは多いと1時間に3、4本通っているバスもあります。

――車を運転されない方にとっても、バスやタクシーで市内の移動が可能なんですね。

浅野さん:基本、皆さんかなり長い期間自家用車を持たれますが、例えば車の運転ができなくなったご年配の方などは、バスとタクシーが主な移動手段になってくるかと思います。65歳以上の方が免許を自主返納した場合は、1回限りとなりますが、お渡しした年度の翌年度末まで使える5,000円分のバス・タクシー券をお渡ししております。車のある生活から、電車やタクシーを使う生活へのギャップが当然あると思いますので、最初はそういった制度を活用してもらって、段階的に長くグラデーション期間を取ってもらい、公共交通機関やタクシーの利用に慣れていってもらえるようにしています。

移住希望者を受け入れる市独自の施策


――首都圏からの移住者を受け入れるのに、今すごく力を入れていらっしゃいますが、色々な政策がある中でも、特に移住者や移住を検討されている方から好評な施策を教えてください。

浅野さん:市独自でやっているものを中心にお話しさせていただきますと、一つは移住にかかる交通費を補助する制度を設けています。下見の期間も含めて、お家と沼津市を行き来した1.5往復分の交通費は市で負担をさせていただくようなサービスとなっています。上限額が10万円で、補助できる期間も決まってはいますが、ご案内すると喜んでいただけますね。
加えて、下見に来るにあたって、首都圏からだと皆さん車を持たれていない方も多いんです。ただ、沼津市は車社会ということもあって、スーパーの位置ですとか、生活圏を案内するには車の方がいいだろうということで、市内を2時間無料でタクシー案内するサービスも行っています。ご自身の住みたいエリアや、見てみたい場所などをオーダーいただければ、それに沿って個々にその人専用のルートを市の職員の方で作って案内するようなサービスです。

あと、もちろん電話やメール、対面でも移住の相談には応じておりますが、民間事業者にお願いしてLINE相談も行っています。なかなか初対面の人と最初から会って話すのが難しいという方や、就業時間中に電話をかけられないという方もいますので、形を変えて相談の幅を広げています。

他にも、市職員だと個別具体的な就業先とかお住まいの場所とかを紹介するのがなかなか難しい部分があるものの、民間事業者等にご協力をいただくことで、より鮮明に移住後のイメージを持っていただけるような取り組み等を行っています。

他自治体様とちょっと異なる点としては、沼津市はアニメの舞台にもなっているので、あえてそのファンの方にターゲットを絞った、市単独の移住相談会というのも行いました。

今五つほど挙げさせていただきましたけども、こういった部分は、移住者さんや移住希望者さんからご好評いただいている施策になります。

行政と民間との連携による移住促進

――民間と一緒に取り組んでいらっしゃる施策が多いというのが特徴的だと思ったんですが、これはどういった経緯で一緒にスタートしたのでしょうか。

浅野さん:民間事業者さんにとっては、人口が増えるとそれだけビジネスチャンスも増えるので、 そもそも移住という部分に関心が高い民間事業者がいた、ということが前提としてあります。

移住を希望される方は、やはり住まいや仕事に関しては、「アバウトな情報じゃなくて、具体的な情報を欲しい」というケースがかなり多いんです。でも、そういうものは市職員ですと立場上お答えできないという歯がゆい部分がありました。そんな中、令和2年度から、個人・団体・事業者による「ぬまづ暮らしオススメ隊」という制度を立ち上げたことで、より具体的なサービスが提供できるようになりました。

――市役所だと、どうしても特定の民間事業者を応援できないという立場があるでしょうから、そのあたりが民間の人と一緒にやることで解消されるんでしょうね。他にも「チャレンジショップ」や「小商い」といった商業部門への取り組みがありますが、このような応援施策はどういった方が力を入れていらっしゃるのでしょうか。

浅野さん:コロナ以降、移住がホットな話題になってきたということもあって、元々沼津に住んでいる方が、沼津が好きで、沼津に来てもらいたくて始めたということももちろんあります。けれども、どちらかというと、やっぱり移住されてきた方のほうがこういった施策への熱量が高い印象はありますね。

移住されてきた方のコミュニティは、お互いが当事者というのもあって、結びつきが強くなりやすい部分もあるようなんです。そういった背景から、移住してきた方が中心になって行っているところも多い印象ですね。

――市の政策として「まちなか起業支援」というものがありますが、これは移住者の方も利用できるようになっているのでしょうか。

石渡さん:移住者がメインのターゲットではないんですけれど、市内に住んでいる方、もしくは市内で起業したい方は参加できるような仕組みになっていますので、沼津に移住すると同時に創業したいというような方ももちろん利用は大丈夫です。

――子育て施策や沼津市ならではの子どもの育てやすさについて伺いたいのですが、特徴はありますか。

望月さん:子育ての施策で沼津市が独自にやっているものとしては、まず、高校3年生相当年齢まで医療費の無償化が力を入れている取り組みになります。あとは、やっぱり環境的な部分ですね。浅野の方からもありましたけど、沼津市は、地理的にも海があったり、川があったり、山があったり、環境がとてもいいところなんです。いろんな経験をさせてあげられるというところで、やはりそういった自然環境もアピールする際のポイントにしていますね。

――海沿いにある松林の公園に行ったことがあるんですが、すごく景色が良くて、しかも観光客でごった返していなくて、とてもいいところでした。

浅野さん:意外と高校生もよく行ったりするみたいですね。幅広い年齢層の人が利用しているようです。

移住者増の背景にある、数々の要素

――移住者が増えたきっかけとしては、やはりコロナ禍が影響したところが大きいですか。

浅野さん:コロナ禍も拍車をかけた1つのきっかけにありますが、それだけでなく、色々な要素が重なっていると思います。

先程、沼津市はアニメの舞台になったとお伝えしましたが、そのことも一つにあります。作品が放送されてから10年経つか経たないかぐらいなんですが、今でも根強いファンの方がいらっしゃるんです。最初はファンの方が観光地として沼津にいらっしゃっていたんですが、「観光」という面から「実際暮らしてみちゃおう」というフェーズに移っている方が多いという印象がありますね。

観光客がアニメファンによってすごく増えたことで、もともと沼津に住んでいる市民も、外部から人が来るということに随分と慣れたんです。外からやってきた人に対応ができるというか、そういったことが重なったことによって、移住者さんが増えてきているというのはあるかなと感じています。

 ――外部から来る人に地元の方が慣れるというのはすごく大事だと思いますし、これまでのお話からも静岡は開放的な土地柄だという印象を受けますね。

市職員に訊く。沼津市の魅力

――みなさんに個人的なご意見を伺いたいのですが、「沼津市のここが気に入っている」というポイントをそれぞれ教えていただけますか。

浅野さん:市の職員として、事業者さんや、ご自身でなんらかの活動されている方と関わる機会が割と多いんですが、私の主観としては独創的な発想を持って、自ら能動的に街の活気を出すために取り組んでいる方が非常に多い印象があります。

私は近隣市出身なのですが、そういった特徴的な方が多いというのは、一市職員としても一市民としても暮らしていて楽しい部分だなと感じています。おそらく商業の町ということが関係しているのかなと、個人的には思っていますね。

――それは興味深いです。地理的に近い場所であっても、気質が違ったりするというのは面白いですね。

望月さん:私は今までずっと沼津市内の学校に通ってきたので、沼津市以外はあまり知らない状況ではあるんですけれど、日常で自然を感じる場面というのが、今振り返ると多かったですね。海に近い学校に通っていたりすると、潮風で鉄が錆びていたりする風景とか、運動部の時は、山のほうにある競技場で大会をやったりだとか。あんまり当時はそういうこと意識していなかったんですが、年を取ってから振り返ってみると、自分の生活の中にすごく自然がいっぱいあって、そういうことを感じる機会が他の市町村よりもおそらく多かったのかな。振り返ってみると綺麗な思い出として残っていますね。

――街と自然のバランスがいいということですかね。お話を伺っていてもやっぱり住みやすそうですよね。

浅野さん:そうですね。県単位で見ると移住希望地としては連続1位になっていますし、首都圏からも近いので、特に沼津市を含めた東部地域と、静岡市、浜松市というのは、県内でも群を抜いて人気度が高い市町になってくるかなとは思いますね。