静かな時間が流れる場所で、心地良い暮らしを始めてみませんか。大分県竹田市は、歴史ある城下町の佇まいを残しながら、豊かな自然と名水、温泉に恵まれた市です。市内四つの地域それぞれが独自の魅力を持ち、農業や観光、商業が調和した暮らしやすい環境が広がっています。
近年、竹田市では移住希望者に向けた支援が充実し、仕事や住まい、地域とのつながりを事前に体験できるインターンシップ制度が整備されています。ただの旅行ではなく、地に足のついた滞在をしながら、新しい暮らしを見つけることができるでしょう。
竹田市の持つ魅力や、移住を考える方への支援策について、竹田市総合政策課の重石さんにお話を伺いました。

温泉と水に恵まれた健康な市

竹田市は人口1万9000人弱、高齢化率が49%の市です。市民の約半数が高齢者ではありますが、それが悪いという訳ではなくて、皆さん農業に勤しんだり、コミュニティー活動に精を出したり、元気な高齢者が多いんです。
平成の大合併で四つの自治体が合併して現在の竹田市になっているんですが、竹田地域はかつての城下町で、現在は商業の中心地となっています。荻地域は農業が盛んで、トマト、ミニトマト、ピーマンなどが名産です。久住地域は、阿蘇くじゅう国立公園に含まれている久住高原がとても綺麗な所で、観光地として有名です。直入地域は炭酸泉の「ラムネ温泉」がとても有名です。
地域それぞれに特徴がありますが、全地域に温泉があるので、市内で温泉巡りを楽しむことができます。
豊富な温泉資源を活用した「たけたウェルネス滞在プラン」という、健康づくりを目的とした「健康増進プログラム」と、リモートワークや観光施設などの「テーマ別スポット」を組み合わせたツアーの提案も始まりました。
また、竹田市は名水百選に選ばれているんですが、市内に湧水が60ヶ所くらいあります。水道水も湧水で、市外から水を汲みに来る方も沢山います。私が住んでいる所も、ボーリングして毎日湧水を飲んでいます。

インターンシップで事前の田舎暮らし体験
令和5年度から「竹田市移住促進社会人インターンシップ」という制度が始まりました。インターンシップは「しごと型」と「地域体験型」に分かれています。
しごと型は市内の企業15社にご協力頂いて実施しているんですが、職場体験の機会を1日設けて、実際にその企業の仕事を体験し、社員さんとの交流を図り、企業理念を体感するという内容になっています。求職者の方と企業の体験型面接といった位置付けです。
地域体験型に関しては、やはり竹田市は田舎なので、移住希望者の方が気になるのは人間関係ということで、移住前に地域の方々との交流の機会を設けています。また、市の空き家バンクと市内の不動産屋さんを通して住まい探しも行います。こちらは2泊3日で実施することが多くなっています。
インターンシップ中には、買い物する場所や病院、お子さんがいらっしゃっる場合は学校や幼稚園も案内しています。
インターンシップを体験された方からは、「就職のミスマッチが起こらなかった」とか、「事前に職場体験をしたのですんなり仕事に入れた」、「インターンシップで横の繋がりができてから移住したので、地域の方に相談しやすい」といったご意見を頂いています。
その他の仕事支援
竹田市は農業生産額が大分県1位なんですが、担い手の高齢化が進み、後継者も少ないという課題があります。そこで、新規就農を目指す方に向けて「竹田市ファーマーズスクール」を開講しています。こちらでは2年間の研修を行い、3年目に就農できるようにプログラムを組んでいます。
その他、仕事に関する支援として、THE 3RD PLACE TAKETAというウェブサイトを運営しています。こちらではリモートワークに適したスペースに関する情報提供をはじめ、竹田での過ごし方のご提案や、地域内事業者の求人やインターンシッププログラムのご紹介、サテライトオフィス開設に関する情報まで様々なサードプレイスに関連する情報を掲載しています。
竹田市への移住を決めた人の支援
竹田市への移住を決めた方には、給付金や補助金があります。
「竹田市移住応援給付金」は、5年以上県外に居住していたなどの条件に該当する方が竹田市へ移住する場合に交付されます。子育て世帯には最大で130万円給付されます。
「竹田市定住促進住宅取得事業補助金」は、45歳未満の方が竹田市内に移住して住居を新築するか、新築の物件を購入して、且つその額が1000万円以上の場合に、50万円を補助します。
「竹田市空き家改修事業補助金」は、空き家バンクを通して空き家を購入した場合、改修にかかる費用を最大100万円まで補助します。

(※上記の給付金・補助金は令和6年度時点のものです)
竹田市の存在を届けたい

私自身、30代後半の時に竹田市にUターンしたんですが、昔に比べると今の竹田市は買い物に不便しなくなりました。スーパーマーケットもありますし、移住者の方が新しく開いたお店もあり、活気づいているように思います。それに、今はインターネット通販があるので、生活する上で特に困ることはありません。
とはいえ、人口減少社会の中で地域を維持していかなければならないという現実があります。今から竹田市の人口増を目指すのはとても難しいので、移住者を沢山増やすというよりは、既に存在している地域コミュニティーの維持に貢献してくれるような方に移住して頂きたいと思っています。量より質、人間性の部分ですね。
そのためには、隣の由布市や阿蘇市より知名度の低い竹田市としては、情報発信が課題です。今後は、先程ご紹介したインターンシップをより充実させて移住施策の看板にしていきたいと考えています。
竹田市は水にも温泉にも恵まれ、城下町という歴史的な場所もある良い所ですので、是非、地方移住を希望される方々に知って頂きたいと思います。