生涯未婚率が高くなっており、結婚を希望しない若者が増えているイメージがある近年。しかし一方で、婚活イベントやマッチングアプリをきっかけに交際や結婚をしたという話もよく聞くようになりました。インターネットが普及したことでさまざまな出会いの可能性が広がり、婚活市場は一層加熱しているように感じます。
そんな中、千葉県にある大多喜町では、自治体が主体となって婚活事業を行っています。担当の松浦さんに、いったいどのような事業を展開しているのか、開催されるイベントはどういったものなのかお話を伺いました。
婚活から新生活までサポート
――大多喜町ではどういった結婚支援事業をされているのですか。
主にお見合い事業と多人数形式の婚活事業、補助金の三本立てで取り組んでいます。
一つ目のお見合い事業では、「縁結びinおおたき」と「移住婚」の二つの取り組みを行っております。
それぞれ何が違うのかといいますと、「縁結びinおおたき」では大多喜町在住・在勤の方を対象として、登録した方同士でお見合いをしてもらえる機会を作っています。
一方「移住婚」は、大多喜町に移住を考えている方と、町内の方とマッチングしようとする取り組みです。こちらは一般社団法人日本婚活支援協会さんが行っている「移住婚」のサービスを利用していまして、都会に住んでいる独身の方に結婚と地方移住を同時に提案するものです。
二つ目の多人数形式の婚活事業では「出会いの広場inおおたき」という取り組みを行っています。こちらは毎年イベントを開催しておりまして、昨年はバスツアーを行いました。大多喜町内の観光スポットなどをバスで巡り、男性8名、女性9名で5組のカップルが誕生したんですよ。都市部から来た女性と大多喜町の男性が主な参加者ですので、町内を巡ることは男性にとって話の種にもなります。事前に婚活アドバイザーの方にセミナーを開催していただいて、マッチング後もアドバイスをもらえるようになっていますので、奥手な方にも安心して参加していただけるかなと思っています。
今年も12月7日にバスツアーを開催します。昨年は町内を回ったのですが、今回は町内だけでなく隣の鴨川市にある「鴨川シーワールド」でショーを見ていただく予定です。「ナイナイのお見合い大作戦!」という婚活番組で有名な根岸善一郎さんにコンダクターとして同行していただきますし、事前にセミナーを開催し、個別にサポートも受けられるようになっています。地方移住と結婚を考えている方は、ぜひお気軽にお申し込みください。
三つ目に補助金と申し上げましたが、これは「結婚新生活支援事業補助金」というもので、条件に該当する新婚世帯に対して最大60万円を補助する支援です。夫婦ともに39歳以下で所得が500万円以下など要件がいくつかあるのですが、住居費や引っ越し費用に充てることができます。結婚や引っ越しには費用がかなりかかる場合が多いですから、ぜひ利用していただきたいと思っています。
また、新婚世帯ではなくても、移住してきた方には「移住支援金」という補助金もあります。こちらにも条件はあるのですが、婚活イベントなどをきっかけに大多喜町に興味をもって一人で移住してくるというパターンも考えられますので、そういう場合はぜひこちらも確認していただければと思います。
婚活に意欲的な若い女性も参加
――「縁結びinおおたき」や「移住婚」に登録されている方には、どういう方がいらっしゃるのですか。
「縁結びinおおたき」の方は、30代以上の男性の登録者が多いですね。一方「移住婚」の登録者には女性が多く、しかも若い女性が非常に興味をもって活動をされています。ですから「縁結びinおおたき」での女性参加者の不足を「移住婚」でうまく補填できればなと思っていますね。
「移住婚」に登録されている方は都内近郊の方が多いですが、遠いと北は北海道、南は熊本までいらっしゃいます。
――多人数式の「出会いの広場inおおたき」のイベントで開催されるセミナーはどういった内容なのですか。
たとえばバスツアーの事前セミナーの場合には、男性の方には婚活成功の秘訣をはじめとして、ツアーの内容や準備のポイントなどをお伝えします。講師と個別にLINEで繋がることができますので「何を着ていけばいいですか」とか、カップル成立後「デートはどこに誘ったらいいですか」といった相談をすることができます。
女性は基本的に都市部や遠隔地にお住まいの方が対象なので、オンラインでセミナーを開催します。小田愛香さんという御高名な婚活アドバイザーの方に、スキルや魅力をどのようにアップさせるかといった内容でお話をしていただきます。
こういった事前事後のフォローがありますので、男性も女性も準備をしてから当日を迎えてもらうことができますね。
――過去の「出会いの広場inおおたき」のイベントにはどのような方が参加されたのですか。
募集対象が20歳から39歳なのですが、若い方だと女性で21歳の方もいました。去年も22歳の子が来てくれて、女性は若いうちから婚活に興味をもっているんだなと実感しました。
イベントの最初にまずは1人1人自己紹介で顔合わせができますので、どういった方が来られているのかしっかり確認することができます。
成婚の実績あり!
――「移住婚」や「出会いの広場inおおたき」では全国から登録・参加ができるのがいいですね。
そうなんです。私たちも婚活担当ではあるんですが、移住担当者と連携して町の魅力を発信していきたいと思っています。もし婚活には興味が無かったとしても、大多喜町を知ってもらうことが観光のPRにもなりますし、移住促進に繋がるのでいろいろな事業を絡めて活動していきたいですね。
ですから地方移住に興味があって結婚もしたいなと考えている方は、ぜひ気軽に登録や参加をしていただければなと思います。もちろん登録されている皆さんは真剣に婚活をされている方ばかりなので、結婚に対して誠実に考えている方にはとても良い機会になるのではないでしょうか。でも何がきっかけで交際に発展するかはわからないですから、肩肘はらず、緊張せずに大多喜町での出会いを楽しんでいただければ嬉しいです。
――1対1のお見合いやイベントなどいろいろな出会いの場が提供されているので、自分で合うものを選べるのも素敵ですね。
そうですね。スピードを重視して婚活をする方もいらっしゃるし、反対にじっくり考えたいという方もいらっしゃるので、私たちはいろいろなきっかけづくりをすることが大事だと思っています。
1対1のお見合いをする「移住婚」では私たち自治体職員が立ち会ってオンラインでお見合いをするのですが、いかにお二人の話を盛り上げるかに責任を感じながら立ち会っています。時事ネタを挟んでみたり、それぞれお住まいの地域の話を盛り込んでみたり。3人が同じ場所にいるわけではないので、それぞれの空気感を察しつつうまい具合に会話を回さなければと自分なりに頑張っています。
実は今年、7月にお見合いをして、9月には交際に発展、そしてなんと10月に婚約したカップルがいらっしゃるんです。「転入届出しに行くときに会いに行きますね」って連絡をくださって、とても嬉しかったんですよ。
そういうカップルが増えるように、これからも地道に頑張りたいと思います。