富山短期大学 地域連携センター長_大森聡准教授に訊く:地域貢献と学生の成長を支える富山短期大学の取り組み

富山短期大学は、「経営情報学科」「食物栄養学科」「幼児教育学科」「健康福祉学科」「専攻科食物栄養専攻」という5つの学科を持ち、地域での就職に直結した学びを学生に提供しています。


また、それだけではなく地域住民の生涯学習や地域課題の解決にも貢献しています。
創立60周年を迎え、地域に貢献する富山短期大学。今回のインタビューでは、地域連携センター長の大森聡先生にお話を伺いました。

大森 聡 先生

富山短期大学 地域連携センター長

食物栄養学科 准教授

管理栄養士 日本栄養士会災害支援チームリーダー資格

専門は応用栄養学。食事内容や食べ方と食後の血糖上昇について研究し、ライフステージ別の栄養管理やスポーツ栄養、災害と食との関係など教育内容は多岐に亘る。

生涯学習の拠点

富山短期大学地域連携センターは、本学の複数あるセンターの一つで、地域連携の総合窓口として地域住民、NPO、産業界、行政などと連携を深めるとともに生涯学習の拠点として地域文化および産業の振興、地域社会の活性化・発展に貢献することを目的としております。学生も当センターでの様々な活動を通じて地域の方々と触れ合っています。

主要な活動の一つとしては、公開講座が挙げられます。公開講座では主に本学の教員が講義や実習を行い、学生はボランティアという形で補助の役割を果たすこともあります。

公開講座において、従来は主に一般地域住民を対象として、栄養学や介護予防、子どもとの関わりを学ぶ講座を提供してきました。

近年の新たな取り組みとしては、小さな子供や若者を対象とした講座を開始しています。
小中学生、高校生に向けた「スマホのオリジナル壁紙作成」や「アウトドアギアの作成」の他、親子で参加できる料理教室もあり、夏休みの自由研究にもなるのでおすすめです。

地域の課題解決

また、地域連携センターの重要な役割として、地域の課題解決があります。市町村が抱える問題、例えば高齢化などの社会問題に対して、教員と学生が一緒になって解決策を提示しています。


過去には、射水市で実施している「いみず学生アイデアコンテスト」に応募し、一昨年は最優秀賞を受賞するなど、毎年好成績を記録しています。
最優秀賞を受賞したのは「シニア人材の活用を核とした釣り場振興策『いみず釣り名人プロジェクト』」で、これは、射水市にある「海王丸パーク」という観光施設が集客に悩んでいたので、それを解決する策として学生達が地域の釣り名人のシニアを集めて組織化し、また子供向けに釣りイベントを開催して、多世代交流と集客を低予算で実現するという企画でした。

また、読書好きの学生達は、地域の人々とのつながりを強めるために、小杉地区で古本市を開催し、地域から好評を得ました。
こういったイベントは多くの参加者を集め、地域からは再開催や新たなイベントの開催を求められています。

学生の主体的な学び

地域連携センターの事業の一環で、過去には「南砺市いなみ国際木彫刻キャンプ」というイベントで、専攻科食物栄養専攻の学生達が様々な国のメニューを取り入れたお弁当を自ら考案し販売しました。講義や実習で学んだことを活かして、栄養素に気を遣ったり、彩りを考えたりしながら作りました。
そうして、自ら考え経験することを通じて、失敗からも学んでいます。学生達からは「大変だがやりがいがあり、成長できた」という感想が聞かれました。

このように、地域との関わりをとおしたボランティア活動では、主体的に判断し、さらに他人と協調して行動することが求められます。難しいと感じるかもしれませんが、学生のうちから学外の方と協力するという経験はとても価値があり、社会に巣立っていく上では、大きな学びになります。
学生のコミュニケーション能力を向上させ、教室での学習とはまた違った社会での人間関係を経験させてくれます。

創立60周年を迎えて

本学は、今年で創立60周年を迎えました。
栄養士、介護福祉士、保育士など医療・福祉・保育の専門職養成の先進校として、また情報とビジネスのスキル・資格を取得できる富山県で唯一の短大として、これまで2万3000名をこえる人材を社会に輩出してきました。

長年にわたる「伝統」と「実績」、教育改革と社会貢献の積み重ねが地域社会からの厚い信頼につながり、高い就職、進学実績を実現しています。

富山に根付き信頼される本学の魅力は十分に保ちつつも、少子化、IT化、国際化をはじめとした社会のニーズや時代の変化に適合した富山における教育研究の一翼を担う拠点としての使命を果たし続けていきたいと思います。