自然農法で市民の健康と生きがい作り:鹿児島県南さつま市の取り組み

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自然の恵みを最大限に活かし、持続可能な農業を目指す南さつま市。​農薬や化学肥料を使わない自然農法や有機農業が広がりを見せています。​その中心的な存在が「ありのまま分校」です。​この分校では、地域の人々が自然と調和した農業を学び、実践しています。​
南さつま市の取り組みについて、 市役所・農村振興課生産流通係の現王園さんにお話を伺いました。​

画像引用元:Map-It

自然農法を学べる「ありのまま分校」

――南さつま市ではなぜ自然農法や有機農業が盛んになってきたのですか。

南さつま市では、平成27年(2015年)に「健康元気都市 南さつま」を宣言しました。健康元気都市として環境保全型農業を推進する事業の一環で、「ありのまま分校」を開校しました。
ありのまま分校は、市民向けの自然農法を学ぶ講座なのですが、5月から3月にかけて月に2回程度、年間で22回程度開催しています。自然農法は、一般社団法人MOA自然農法文化事業団(※)に指導して頂いています。(※詳しくは→リンク先へ

――講座には農家の方が参加されていたんですか。

開校して最初の3年間は、農家を育てることを目標にしていたんですが、なかなか人が集まらなかったので、方針を変更して「食の安心・安全」や「生きがい作り」をテーマにすることになりました。あとは、ありのまま分校が受講者の居場所になればと。

――ということは、現在は農家ではなく一般の方が多いのでしょうか。

9割以上は一般の方ですね。市外の方からの問い合わせが多くて、今年で開校11年目になるんですが、今では受講者の内、南さつま市民は約半数ぐらいになっています。
元々は年輩の受講者が多かったんですが、ここ数年はオーガニックという言葉が流行っているのもあって、若いご夫婦や子ども連れで受講する方が増えてきましたね。

――もしや、移住者からの関心も高いですか。

そうですね。南さつま市に移住して自然農法を学びたいという方は、研修生として受け入れています。
研修生にはありのまま分校のスタッフとして入ってもらうのですが、一般の方に自然農法を伝えながら自身も学ぶことができます。

“健康元気都市・南さつま”の推進

――ありのまま分校の他にも、自然農法やオーガニック関連の取り組みはありますか。

南さつま市では農水省の「みどりの食料システム戦略」に参加しています。この計画の中で令和4年度から、市内で生産された自然農法・オーガニックの農産物を本格的に学校給食に使い始めました。給食は無償化していてセンター方式なのですが、市内の全小中学校が対象です。とは言え、現状は給食全体からすると供給量は約7%ですので、今後の安定供給を目指していくところです。

――市内には自然農法の農家が多いのですか。

多くはなく数軒なのですが、その方々が「南さつま市自然農法・オーガニック野菜推進委員会」という団体を設立されています。給食への農産物の供給やありのまま分校の運営を担ってくださっていて、お野菜セットの通販なども行っています。

――南さつま市は、健康に良い農法や農産物に触れられる環境があって羨ましいですね。

そうですね、南さつま市ならではの取り組みを広げていけたらと思います。今後も健康元気都市として、市民の皆さんの健康増進に繋がる事業を進めていきたいです。