なぜLINEだったのか?IRISデータラボ創業者が語る「Atouch」開発秘話

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 IRIS(イリス)データラボは2019年3月、現代表の安達教顕氏によって起業された。既にその存在は、確固たる地盤を固めるに至っている。創業5年にして「成長企業」の期待を集めるIRISデータラボは、どんな足取りで歩みを進めてきたのか。

 中軸のAtouch(アタッチ)事業は、我々シニア層の強い味方。詳細は後述する。社内の中核スタッフから「兄貴分」とされる安達氏は、どんな経緯でIRISデータラボを産み落としたのか。

ビジネスの本質は、お客さまの問題の解決

 安達氏は日頃、「ビジネスの本質は、お客さまの問題を解決することにある」と語っている。「お客さま自身では解決できないから、問題を解決してくれた人に対価としてお金を払う」とも。まさに、言い得て妙。

 学生の頃から、人の困りごとに耳を傾けた。具体的には例えば中小企業の経営者からは、「いい商品なのに、それが顧客の手に届かない」といった声が聞こえてきた。「ネットの力を活かせないか・・・」と返した。今からかれこれ20年前、「ネット時代」の黎明期である。安達氏は、まめ。地方の中小企業主からそんな声が伝わってくると、現地まで走っていった。そして「ITデジタルの活用」を「マーケティングの必要」を説いた。

 そんな一歩、二歩、三歩がAtouchに繋がっていくわけだが・・・

 IRISデータラボではAtouchに至る過程を、「LINE公式アカウントを利用したAPIツールの開発、及び他企業が開発したLINEのAPIツールの総代理店として、販売・導入を行っていた。当時より、政府や自治体向けにLINEヤフーと協力しており、コロナ対策のLINE公式アカウントを多数サポートなども行ってきた」と説明する。そうした経緯の中で、安達氏の「ビジネスの本質は、お客さまが直面している問題の解決」を象徴するような話を耳にした。

コロナ禍に世の中が揺さぶられていた時のことだ。誰もが、コロナワクチンを求めた。医療機関も確保に躍起となった。がその一方、接種直前のキャンセル等で「ワクチン廃棄」という忌々しき事態が発生していた。2021年7月末時点で厚労省は廃棄数量を、全国48の接種会場での廃棄数量を「8090回分」とした。そんな折り、ソフトバンクグループの代表:孫正義氏が「廃棄ワクチンを有効活用する枠組みの必要性」を説いた。それに呼応したのが現在のLINEヤフーとIRISデータラボの連携組。共同で、こんな枠組みが実施された。

『LINEで友だちを追加⇒接種希望地域等を登録⇒通知が来たら予約して会場に出かけ接種を受ける⇔当初3会場で始まった廃棄ワクチンの接種は9会場に裾野が広がった』。

 私は孫氏と、彼がPCソフトのパッケージ販売で世の中に知られ始めた頃に出会った。そして弱み?を握っている。ゴルフ上手の孫氏は「パープレイ」の記念に、スコアカードを表面に印したテレカを作った。今もって大事に保管している。周知のように旧ソフトバンクはその後、日本で携帯電話事業(ボーダフォン)にも参入した。「携帯電話会社のトップがテレカとは如何なものか・・・」と茶化す意味で、今もって大事に保管しているのである。出会った頃から、時々の時代状況に解決策の「提言」を発することに長けた御仁だった。

Atouchは、某自治体の「プレミアム商品券をLINEで展開したい」という相談がキッカケだった

 小見出しの「相談」は、2021年。当時はまだ、Atouchはなかった。前身となる簡易的な仕組みのものだった。同様の相談が複数寄せられ、いくつかの自治体で実証実験を行った。安達氏は「現実に教えられた。驚くべき結果だった」と振り返っている。

 LINEは国内で「9500万人が使うインフラ」とされる。がビジネスの活用では、「メッセージの配信」「問い合わせの対応」にとどまるケースが大方。それだけに自治体の相談への答えが出せるのか、「?」があった。が、こんな結果が待ち構えていた。ECでは想定できなかった年配層がLINE上で迷うことなく、商品券を購入したのである。100歳を超える超高齢者が購入、という例もあった。「ECに取り残されていた層もLINEならアクセスしやすく、安心して買い物が出来るという現実は我々に、とてつもなく大きなビジネスチャンスを教えてくれた」(安達氏)のである。 

 IRISデータラボではそうして世に飛び出したAtouchを、こう説明する。

「LINE公式アカウント/APIツールの一つで、トーク画面にレジ機能をつけることのできるサービス」。

「事業者のLINE公式アカウントに導入することで、利用者は商品の購入・決済をECサイトに遷移させることなく行うことができる」。

「LINE公式アカウントの魅力である、1to1コミュニケーション=接客と組み合わせ、接客から購入までを実現可能にした」。

「直近ではコンサートやイベントなどのチケット販売や、LINEヤフーとの共同取組として、エンタメアカウントの提案・導入・運用なども行っている」。

 噛み砕く。

 絵図(LINE内での決済・ネットショップ)を参照。

LINE内のトーク画面上に商品ページ・購入・申込&決済ボタンを簡単に設定・完結できる。最短3週間で、LINE上にネットショップが開設できる。

<顧客に、面倒を感じさせない/それが結局、売上・LTV・リピート率に繋がる>

<IDやパスワードの設定が必要ない。老若男女すべてに使い勝手がよい。100歳の高齢者も容易に使える>

 Atouchの導入企業も現時点で800社を超えている。

 こんな事例を知った。

 SANOSUKE FARM@たかす。北海道上川郡鷹栖町で「子供たちに安心して食べてほしいお米」を掲げ、北海道の魚カスを原料とした有機肥料を使った特別米を栽培している。ネットショップ販売始めたいと思い、Wixを自分たちで作ることを試みたり、Shopifyを課金してためしてみた。がなかなか考えたように上手く行かなかった。LINE公式アカウントから、いけそうなものを見つけて購入したこともあった。が、自社のホームページに遷移する仕組みに面倒くささを覚え離脱。辿り着いたのが、Atouch。「顧客との距離が短くなった」と実感。いまでは売り上げの50%がAtouch経由だという。

資金調達

 昨年4月、IRISデータラボは第三者割当増資で1億1000万円の資金調達を行った。割当先はスタートアップ企業を中心に成長を予想する相手に、資金供与を積極的展開しているエッグフォワードを中心としたエンジェル投資家である。安達氏は手にした資金の使い道、今後の事業展開を自らに言い聞かせるように「本来インターネットは、人々の生活をもっと豊かにするためのもの。でも現実には、その恩恵を十分に受けられていない人たちがいる。特に、オンラインでの買い物に不安や抵抗を感じる方々にとっては、便利さが逆に壁になっている。だからこそ、LINEという誰もが使い慣れたツールで、迷わず・手間なく買い物ができる仕組みをつくりたい。それを全国・全世代に届けていくのが、私たちのミッションだ」と語った。