奈良発!AIが創る新しいビル経営モデル FUMiRA Japanの挑戦

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 FULMiRA japan。三宅悠生氏によって2020年に設立された。本邦初のAIを活用したビル経営を展開している。AIとビル経営は、どんな風に繋がってくるのか。ビル経営者各位にも、特と読み入って欲しい。

 三宅氏は近畿大学情報学部・大阪市立大学大学院に学んだ。自身はこう振り返っている。「高校生の時、これからはITの時代だと考えていました。大学でITを学んだことが、AIと向き合うそもそもの入り口でした。一言でいえば、好きだから勉強も楽しかった。当時はjavaというプログラミングを学んでいましたが、教授にも評価してもらい授業を手伝うようになりまして・・・その教授が『これからはAIの時代がやってくる』と、投げかけてくれたのです。妙に惹かれるものを感じました。それがAIに嵌るキッカケになりました。AIに関する様々な研究を始めたという具合だったのです。教授との出会いは、私の人生に凄い縁になりました」。

 三宅氏は大学院時代、AIの研究論文をまとめるまでにこの世界に首を突っ込むまでになっていた。

 卒業後、大手のビルメンテナンス会社に籍を置いた。IT部門でキャリアを積み重ねた。

 2020年のことだった。ビル経営をしていた母親が体調を崩した。三宅氏は「母ひとりでビル経営を続けていくのは無理だな」と感じ取った。勤め先を辞し、ビル経営と向き合うことにした。ビルメンテナンス会社に就職していたのも、「縁」。

 三宅氏は、真面目な御仁。こんな言い方は「よし」とはしないと思う。が、「(母)親孝行⇒AIビル経営に」は事実。これまた「縁」。

 人生の「巡り合わせ」を、痛感せざるをえない。

 奈良県奈良市西大寺町。大阪・京都へのアクセスも良好で、奈良県内でも屈指の乗降客数の「大和西大寺」から徒歩6分。三宅氏が運営する「H・Sハッピー・スクールビル(以下、H・Sビル)」はある。

 H・Sビルを検索した。いたるところに登場する「マルモくん」という「奈良と言えば鹿」を映したキャラクターが目にとまった。AIビルの象徴的な存在。詳細は後述する・・・

 経営に乗り出した当初は、「従来通りの運用」を視野に入れていた。が、ビルメンテナンス会社の体験が幸いしたということか・・・三宅氏は周辺の不動産市況を調べた。こう振り返った。「周辺の物件には空室が散見され、成約状況がよくありませんでした」とし、こう読み解いた。「コロナ禍による経済活動の停滞や、リモートワークの働き方の定着があった。賃貸ニーズが、大きな曲がり角を迎えていると実感しました」。

 で、どうしたのか。

「空いた区画をコワーキングスペースや個室ワークブーススペースなどのシェアリングスペースに変えたのです」。現状でビルの約半分の区画が、コワーキングスペース/個室ワークブース/貸し会議室/講習室/クリエーターブースとして運用されている。

 がこの限りでは「空き区画の活用」の領域。必ずしも、珍しくはない。

AIビルと称される所以・・・

 シェアリングスペースの集客方法はこれまで、「プラットフォームに掲載する」「自社のホームページで直接予約を取る」のが常だった。前者は手数料というコストがかかる。対して後者は顧客予備軍の認知を高める為の工夫が必要。三宅氏はプラットフォームに掲載しながら、後者で「工夫」策を執った。

昨今私が身を置く「物書き」の世界でも「SEO記事作成」という表現が流行っている。読者がどんな単語・文節を想定して検索するか、を前提にした原稿をさす。マーケティング手法だ。三宅氏もSEO策を実施した。H・Sビルは、上位に出とてくるようになった。

 がそんな段階を踏みながらも、同時に強烈な時の流れを感じ取っていた。

「なにかをネットで検索する際、ChatGPTやグーグルのGeminiに聞いてみるといった検索方法が普及しています。それが進むに従い、これまでのSEO対策だけではマーケティングとして不十分になるリスクが高いと痛感したのです」。

 並行して、「身に着けていた“きねづか”」のAI検索でも、上位にでることが出来るような対策を行った。三宅氏は、こう噛み砕いて説明してくれた。

「AIを活かした検索で上位に位置する為の要因・ポイントは、後でも申し上げますが発信者の存在です。誰が発信しているのかが、肝心なのです。キャラクターコンテンツです。それがマルモであり、エリカなのです。二人のキャラクターで発信することでAI検索でも(最)上位に・・・という次第です」。

AIの活用施策

 功を奏した。現にいま、FULMiRA Japan(H・Sビル)のHPを閲覧する人の6割はAIからの流入組だという。シェアリングスペースの運営をする向きは、試しにChatGPTに「奈良のコワーキングスペースを探して」と聞いてみるといい。「H・Sビル 」がトップに登場する。「うちでもそうしたい、しかし取り組める人材がいない」というのなら「IT・AIに長けたスタッフ」を採用すればよい。これからのビル経営で勝ち残ろうと思ったら・・・

 前記した「マルモくん」、そして「エリカさん」。イメージキャラクターだ。H・Sビルには二人の看板キャラクターが存在している。マルモくん&エリカさん。何故、という問いかけに三宅氏は改めて、こう語った。

「日本が世界に通用するビジネスモデルは、キャラクターコンテンツです。特に昨今ではご存知のように『鬼滅の刃』が世界的な大ブームになっています。世界的なランキングで第5位を誇る人気ぶりです。これからの時代は差別化戦略として、老若男女を問わず誰からも愛されるマスコットキャラクターが欠かせないと考えました」とした上で、こう続けた。

「ChatGPTやグーグルgeminiを使い、考えうる条件・情報を提供し『可愛いイメージキャラクターで、奈良のモチーフに鹿を取り入れた』マーケティング戦略になるキャラクターとして生成したのです」。

 セクハラにはならないと思うが・・・看板キャラに改めて見入った時、こんな疑問がフッと浮かんだ。「朝比奈エリカさんは、何故ミニスカートなのか。三宅さんの好み(情報)が反映されたのか」。答えはこうだった。

「誰もが圧倒的に魅力を感じるイメージガールという概要で細かい条件式を数十行に渡り、数百回イメージを生成し、やり直しを繰り返して納得いくイメージを落とし込みました。ちなみに細かい条件式でもAIがAIに条件式を書かせましたので、具体的な実行式は実質AIのオリジナルです。マルモは社内でネーミングしましたがエリカについては命名もAIが・・・」とし、私の興味については笑いながら「エリカのミニスカートは、“夏らしさ”を指定しましたが着地はご覧の通りで、AIの完全な好みですね」。う~ん。

 個人的関心事はともかくとして・・・

 H・Sビルの付加価値向上にも、AIが活かされている。「AIコーチング」。「元々コワーキングスペースやビルスペースを利用される方々からの、事業を広げるためにもITの相談窓口が欲しいというという要望がスタートでした。起業家の人々からの昨今の『AIに関するニュースを自分の事業にも取り入れられないか、活かせないか』という声でした。ビルはそもそも、教育関係の貸しテナントビルから始まったということもあり、コワーキングスペースに単なるスペースではない新しい価値を提供できればと考え、需要者に解析したAI情報を提供し伴走することを決断しました。それがAIコーチングです」。

 効果は大。コーチングを受けた人のうち、奈良県内在住者は約4割。約6割が県外の人。なかには東京、北海道からの寄り添い人もいる。AIコーチングという付帯サービスが、H・Sビルを全国区にした。

AIビルの今後の展望・展開

 三宅氏はH・Sビルの今後の展開を、こう言及した。

「いま、奈良の事業者たちと一緒に奈良を盛り上げる『AI/ITコミュニティ』の立ち上げにお声がけを頂き、参画いたしました。特にこれからの時代はAIが活用できれば、地方であっても成果は世界に届けられると考えています。具体的には当社が手掛けるリアルなスペースを今後はXR(現実と架空空間の融合体)により拡張することで、新しい付加価値のあるスペース体験ができると思っています。その際にはマルモとエリカはVR上で世界線を提供できるのではと検討しています。ちなみに現在試験的にマルモグッズ販売を開始し、専用のVRスペースを立ち上げ中です。エリカのデジタル写真集など様々なファングッズの横展開も視野に入れています。今はAIエージェントの時代であり、これからはAGI(汎用人工知能)/ASI(人工超知能)に入ります。従い、AIエージェントに仕事を任せていく所存です。具体的にはWEB/SNS事業拡大戦略を活かしていくつもりです」。

 web取材で、三宅氏と諸々の遣り取りをした。

「コンシェルジェ」という言葉が頻繁に飛び出した。それには、こんな施策がイメージされていた。不動産事業の「脱属人化」。保有不動産の活用法を、相談者とAIが「遣り取り」を繰り返し深めて具体策を導き出していく。

 例えば、社会問題化している「空き家」。多くが「相続税」対策を含め、どう対峙したら良いのかを所有者は苦しみ悩んでいる。悩む相続人がコンシェルジェ:AIに微細な情報を提供し、具体的な解決策を導き出していく。

 例えば、人生最大な出費。マイホーム取得。不動産営業マンでなく、AI:コンシェルジェと突っ込んだ情報の遣り取りを介して「最良策」を求めていく。

 AIは確かに「不動産問題」の解決に、良きパートナーとなろう。

 三宅氏の今後の活動・展開を、とくと見守り続けたい。