販売まで行う実践的な研修と就農前後の充実した支援で新規就農を応援!:ふくい園芸カレッジ

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コメをはじめ、ソバ、サトイモ、ラッキョウ、トマトなど、多彩な農作物が生産されている福井県。しかし、農業の担い手は年々減少しており、さらに県内には農業大学校がなく人材育成が難しいという実情がありました。そんな状況を変えるべく、福井県は2014年に独自の研修施設「ふくい園芸カレッジ」を開設。ここでは、農業を始めたい人や農家を目指す人へ向けて、手厚いサポートと実践的な学びを提供しています。

今回は、福井県農林水産部園芸振興課の職員さんに、ふくい園芸カレッジのコース内容や、福井県農業の実情、独自の支援制度、福井県で農業をする魅力などについてお話を伺いました。

画像引用元:Map-It

担い手不足に立ち向かう。福井県が農業人材育成の拠点を独自で設立

――「ふくい園芸カレッジ」は農業大学校とは違うのですか?

福井県には農業大学校がないんですよ。「ふくい園芸カレッジ」は県が2014年に独自に設立した農業人材育成施設です。園芸に特化した人材の確保と育成、新規就農者の養成を目的としています。

――カレッジは、あわら温泉で有名なあわら市にあるんですね。

そうなんです。福井県北部の嶺北れいほくエリアにあり、あわら市は福井県の最北端に位置しています。そして嶺北の中でも「坂井地区」に属しています。

――福井県はコシヒカリ発祥の地というイメージがありますが、他にはどのような農業が盛んなのでしょうか?

たしかに県全体で見ると水田が多く、お米の生産が盛んですが、実は白ネギの生産も多いんです。また、ふくい園芸カレッジがある坂井地区は県を代表する園芸の産地でメロン、スイカ、ナシや県特産品の「越のルビー」というミディトマトなどが多く栽培されています。

――なるほど。そういった園芸の担い手を育成するために、カレッジを設立されたのですね。具体的にはどのようなコースがありますか?

「新規就農コース」「地産地消コース」「スマート園芸コース」の3つ。そして2023年から新規就農コースの中に「果樹(ナシ)コース」を新設しました。

ふくい園芸カレッジ空撮

農業未経験者も新規就農コースでばっちり就農

――新規就農コースと地産地消コースの違いを教えてください。

新規就農コースは、農業を生業とすることを目指す人のためのコースです。必ずしも農家として独立する必要はなく、農業法人への就職を希望する人も対象としています。
地産地消コースは、家庭菜園などで農業を生活に取り入れたい人や、農産物直売所への出荷を目指す人を対象に、農業技術が学べるコースです。

――どのコースも学びのサポートが手厚いんですよね。

はい。新規就農コースでは、一人ひとりに園芸用ハウスと露地圃場を貸し出し、圃場準備から作物の販売まで一貫したした模擬経営研修を行います。栽培技術だけでなく、経営感覚も養われるような研修内容にしています。研修生のほとんどは農業未経験ですが、講師の指導や研修生同士の意見交換、さらに卒業生が残したデータを活用しながら、実践的に学んでいます。

――研修生は何を栽培しているのですか?

研修では、福井県が推進するミディトマト、スイカ、ニンジン、ネギ、ナシ、スイートコーンなどを栽培しています。

――新規就農コースには、どのような人が参加されているんですか?

以前は県外出身者と県内在住者が半々くらいの割合でしたが、近年は県内在住者の比率が高くなっています。年齢層は幅広く、大学を卒業したばかりの若い人から、定年退職後に農業を始めたいといった人までさまざまです。
男女比は男性が多く、女性は全体の1割ほどです。

――2年間の研修を受けた卒業生の多くは、その後就農されているのでしょうか?

はい、ほとんどの卒業生が就農しています。これまでに新規就農コースの卒業生は約250人おり、そのうち6割が独立就農を果たしています。

――卒業生はどんな作物を栽培していますか?

メロン、スイカ、ネギ、ミディトマトに加えて、最近では果樹のシャインマスカットを栽培する卒業生も増えてきました。

――果樹(ナシ)コースの方はどんな具合ですか。

ナシの栽培を学び、就農を目指すためのコースなんですが、2023年に開講し、2024年から生徒の受け入れを開始したばかりで、まだ卒業生は輩出していません。今後の就農を支援していく予定です。

福井県の手厚い支援で就農前後も安心

――新規就農コースを卒業し、就農を希望する人を対象とした県独自の補助制度はありますか?

はい、「新規就農者支援事業」があります。福井県独自の取り組みとして、県外から移住してふくい園芸カレッジで研修を受けている人を対象に、国の支援事業では対象外となる50歳以上60歳未満の人にも給付金を支給しています。
研修期間中は収入がなくなるため、少しでも安心して学べるように支援を行っています。

また、独立就農者には、経営開始にかかる施設や機械等の導入支援に加え、小農具整備装励金も用意しています。さらに、国の支援事業では対象外となる50歳以上60歳未満の人に就農後、県独自で奨励金を支給しています。

――農家として独立就農後、貯金を切り崩しながら農業をする人も多いと聞きますので、このような支援があるのは、とても心強いですね。

そうですね。ふくい園芸カレッジ卒業後に独立就農し、農業で生計を立てたいと考えている人は、こうした支援をしっかりと活用しています。

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未来の農業を支えるため、年間130人の新規就農を目指す

――ふくい園芸カレッジを設立して以来、新規就農者や農業の担い手が増えてきた実感はありますか?

地域による差はあるかと思いますが、確かに増えてきたと感じます。特に坂井地区では、毎年何名も新規就農者が誕生しており、農業に携わる人の年齢層も以前より若返ってきています。

――素晴らしいですね。新規就農を支援するために、他の団体が実施している取り組みはありますか?

新規就農者の誘致や確保に積極的に取り組みたいとお話ししている農協もあります。また、自治体ごとに独自の支援事業を実施し、補助金を用意しているところもあるんです。さらに、「三里浜砂丘地農業支援センター」や「丘陵地農業支援センター」では、農地の確保や就農相談の窓口を設け、トータルでサポートを行っています。

――ますます福井県での新規就農が魅力的に思えてきました。農業人口の目標値はありますか?

県の方針として、毎年新規就農者を130人誕生させることを目標としています。先ほどもお話ししたように、園芸産地では高齢化が進み、担い手が減少しています。また、水稲農家でも高齢化が進み、離農する人が増えているのが現状です。こうした課題を解決し、農業を支える人材を増やすため、具体的な数値目標を設定し、取り組んでいます。ふくい園芸カレッジの卒業生も、新規就農者としてこの目標達成に貢献してくれています。

白ネギで10億円。福井県の農業界が挑戦する新たな目標

――県外から福井県に移住し、農業を始める人も多いと伺いました。福井県で農業をする魅力について教えていただけますか?

新規就農者にとって、やはり就農前後の支援が手厚いことが、他県と比べて大きな魅力だと思います。ふくい園芸カレッジの研修生からも、「支援制度が充実していたから福井県を選んだ」という声をよく聞きます。

今後は、「三里浜砂丘地農業支援センター」や「丘陵地農業支援センター」だけでなく、県全域に支援の窓口を広げることで、就農相談から圃場確保まで一貫したサポートを行えるようにしたいと思っています。

県外の産地と比べると規模はまだ小さいですが、県内で「10億円品目」を作り出そうという取り組みを進めています。現在、1億円や2億円規模の品目はさまざまありますが、最も販売額が多いのが白ネギなんです。高い目標ではありますが、白ネギで10億円の売上を達成することを目指し、関係機関が一丸となって取り組んでいます。また、農協がリース方式で機械やハウスの整備を進めており、初期投資を抑えて農業を始められる環境を整備しているところが福井県で農業を始める魅力の一つだと思います。

――新規就農したい人にとっては、県を挙げて農業を盛り上げようとしているのはとても魅力的でしょうね。ありがとうございました。