NPO法人エコグリーン協会 宇野理佳さん【「学び直し」というよりも「学び続ける」】

植物から自然の力を学び、日常生活において植物との共生を図ることで、生活者の健康増進に取り組むNPO法人エコグリーン協会

理事の1人である宇野理佳さんに、社会人になっても学び続けることの大切さを、ご自身のご経験を交えながらお話し頂きました。

宇野理佳さん

NPO法人エコグリーン協会 理事

自然や植物との関わりを通じ、心身の健康や生活の質を向上させる活動に携わる。ハーブ、伝統工芸水引、お香、園芸療法などで活動中。


NPO法人法人和の里みや 理事
自然工房理KOTOWARI代表
IHT園芸療法士・薫物屋香楽 香司
JHSハーブインストラクター

アロマフランスクレイセラピスト
チャイルドカウンセラー・児童福祉士

狭い場所から出ることは大切

仕事場の中で必要なスキルを身につけ、キャリアアップするのはもちろん大切なことだと思います。しかしながら、この多様性の時代、狭義の発想では賄いきれないものが出てきているのも事実です。

今、自分がいる場所から一歩外に出て、知識の幅、人間性の幅、そしてつながりの幅を広げるのはとても大切なことであると感じます。

実際に、現在私がメンバーになっているNPO法人エコグリーン協会との縁も、千葉大学環境健康フィールド科学センターの履修証明プログラムを受講したことから始まっています。
(関連記事「千葉大学 環境健康フィールド科学センター 野田勝二先生」)

大学等の履修証明制度

平成19年の学校教育法の改正により、大学、大学院、短期大学、高等専門学校、専門学校(以下「大学等」という。)における「履修証明制度」が創設され、12月26日より施行されました。 大学等においては、これまでも科目等履修生制度や公開講座等を活用して、その教育研究成果を社会へ提供する取組が行われてきたところですが、より積極的な社会貢献を促進するため、学生を対象とする学位プログラムの他に、社会人等の学生以外の者を対象とした一定のまとまりのある学習プログラム(履修証明プログラム)を開設し、その修了者に対して法に基づく履修証明書(Certificate)を交付できることとしました(法第105条等)

文部科学省ウェブサイト

私が受講したのは、「多様な農福連携に貢献できる人材育成プログラム」(以下「農福連携プログラム」という)なんですが、そのプログラムの講師の一人に、株式会社プラネットの社長でもあり、現在私が所属しているNPO法人エコグリーン協会の理事長である大林(千葉大学出身)がおりまして、「一緒にやりませんか」と声をかけられました。

エコグリーン協会の理事に

何故私が声をかけられたのかといいますと、農福連携プログラムの最後には、受講生たちが個々修了プレゼンテーションをする時間が設けられています。

私のプレゼンテーションは「農福芸 地方創生 循環する里システム地方の未来」でした。

その内容は、「福祉業界は、事業所やボランティア団体がそれぞれ独立した活動をしていて、縦にも横にもつながっていない。このままだと農福連携もトレンドで終わってしまうのではないか。だから農福連携というものをもっと大きくアウトプットしていきたい。農福にとどまらず、そこに手しごとというものをいれることで循環する環境を作っていきたい」というものでした。

大林もちょうど休眠状態であったエコグリーン協会を復活させたい時期で、同じベクトルを持つ私に声がかかったわけです。

千葉大学とエコグリーン協会の農福連携振興における協定

私がエコグリーン協会の理事に就任後、千葉大学農福連携プログラムも新しい段階を目指していく時期になりました。

農福連携プログラムでいろいろな話し合いの後、学ぶにとどまらず、修了生の意欲と意識を継続し、交流の場・アウトプットの場として「柏千会」(はくせんかい)を立ち上げることになり、エコグリーン協会が事務局として連携協力することになります。

メンバーは、農福連携プログラムの修了生が中心に、千葉大学の先生・学生、地域の方々も入っています。

柏千会のコンセプトは、「植物のチカラを活かし、すべての人の健康や幸せの実現に向けて、多様な人々が活動を通してお互いを分かり合えるような共生の社会を創造していきたい。千年先の未来に向けて、多くの人を巻き込みながら、すべての人にとってのウェルビーングの実現に取り組む」です。

農福連携プログラムの参加者は非常に多種多様で、色々な業界からやってきます。皆さん外の世界ではプロフェッショナルなんですね。それに、お子さんが障害を持っているご家族の方もいらっしゃいます。

社会人たる中で勉強する人間の意欲と、学びを何かにつなげようという視線は、学生の時代よりもパワフルだと思います。

学び、新しい扉を開く

いくら有能な人間であったとしても、いえ、有能な人間であればあるほど、多くのことを知っているようでいて、実は小さな世界で物を見てしまうような気がします。

「学び直し」というよりも「学び続ける」のかもしれませんが、自分の枠を決めつけず、新しい扉を開けてみることは大切だと思います。

何と何がどうつながるのか、一見まったく関係性がないようなものであったとしても、いつかそれは大切なポイントになるかもしれません。関係のないものにしてしまうのか、それを結び付けるのか、それはその人自身のとらえ方ではないでしょうか?

自分の中で起きることに、無駄なことは一つもないと思っています。私自身は、ウェルビーイングな世の中になるために、常になにがデザインできるかを考えていきたいと思っています。

多角的な見方をできる力が、今後の社会人には必要でしょうね。

また、一定のスキルを身に着けたら、あえて違う可能性を見つける。それも楽しいものだと思っています。

種々様々な人と接する、現場を知る、経験を増やす。知識は自分の糧になります。文系・理系。そういう区分けをする時代はもう終わっているのかもしれませんよね。

千葉大学、農福連携プログラムのメンバーも関わる「ノウフクマルシェ」