北海道の自然で学ぶ!東京農業大学オホーツクキャンパスの魅力

北海道の東、オホーツク地域の網走市にキャンパスを構える東京農業大学生物産業学部では、自然の中でのフィールドワークや、地域課題の研究、企業と合同の活動などに幅広く取り組めます。大半の学生がキャンパスの近くに住んでいることもあり、教員、学生、地域住民の距離が近い、アットホームな雰囲気も魅力です。自然資源経営学科4年の藤原杏芳さんに、北海道オホーツクキャンパス(以下、オホーツクキャンパス)ならではの学びや、大学生活の魅力について伺いました。

商品開発から大自然でのフィールドワークまで

――4年間どのようなことを勉強してきましたか。

自然資源経営学科は、北海道の大自然を活用したフィールドワークが多く、ビジネスについて幅広く学ぶことができる学科です。私は1つの研究に絞るのではなく、4年間色々なことに取り組んできました。例えば、企業や同じオホーツクキャンパスの食香粧化学科と共同で、地域資源を活用した香りつきのステッカーシールを一緒に開発・販売したことがありました。ほかにも、同じ企業と一緒に、北海道ではなかなか食べられていないモクズガニを活用した商品開発に関わったこともありました。この活動は後輩に引き継がれています。

今は、知床半島の羅臼町で「ホエールウォッチングが持続可能な観光になるには」というテーマで研究を進めています。自然の中でクジラを調査するなど、幅広く活動しています。

――地域資源を活用して作った香りのするシールというのは、香りを自然物から取ってきて、シールにつけたのですか。

香りは、ハマナス、コケモモといった北海道の有名な花や植物をテーマに作ったものです。実際に自然から採ると、あまり香りが残らないようで、そういった花や植物をイメージした香りを調合して作ってもらいました。その分野について私はあまり詳しくなく、専門の食香粧化学科にお願いしました。

――食香粧化学科とも共同で、そういった研究をするのですね。

はい。私の場合は、香りのことは食香粧化学科、カニのことは海洋水産学科というように、他の学科の方にも手伝ってもらって活動してきたので、他学科との交流は多かったと思います。

――モクズガニはどういうふうに活用したのですか。

モクズガニを活用するプロジェクトでは、私たちが実際に商品化できたわけではないのですが、どんな方に需要があるかというニーズ調査を実施しました。昨年12月ごろ、世田谷キャンパスに行って、一般の方や学生を対象にアンケート調査をし、モクズガニの試食会も行いました。今年はその商品化に向けて、後輩たちが活動しています。

――大学の規模が大きいから、調査などで協力し合えていいですね。

そうですね。キャンパスは違っていても、場所を提供してもらえるのは助かります。オホーツクキャンパスだけでも4つの学科が合同で活動するところも魅力だと思います。

――なぜオホーツクキャンパスを進学先として選んだのですか。

高校生のときには、自然が好き、動物が好き、観光にも興味がある、といったざっくりとしたことしか考えておらず、経営学をやりたいといった希望も特にありませんでした。
実は高校生の夏休みに、動物に関する研究をしている東京農業大学厚木キャンパスのオープンキャンパスに行ったことがありました。そのときにオホーツクキャンパスの学生が来ていて、お話を聞くうちにとても楽しそうだと思い、行ってみようかなという気持ちになりました。思い切って入学したら、4年間あっという間で、とても充実したキャンパスライフを過ごせています。

地元住民も優しく、アットホームな雰囲気

東北海道の市町村(引用元:Digipot

――北海道の中でも、東北海道はさらに特殊な場所ですよね。暮らしてみていかがですか。

最初の1年間は、一人暮らしや、雪が降る生活に慣れませんでした。でも半年もしないうちに楽しくなってきました。友達も近くに住んでいるので、何か困ったら友達や先輩のところに行くようにしています。私は車を持っていないので、車で送ってもらったことも何度もあります。学生同士の距離が近いですし、一人暮らしの学生が多いので、先輩も面倒見がいい方ばかりです。困ったことがあったら、部活や学科を越えて助けてくれる雰囲気があります。先生との距離も近く、「1人暮らしは大丈夫?」と気にかけて面倒を見てくださいます。先生とも学生とも、コミュニケーションがとりやすい環境です。

――キャンパスは、網走市の中でもどういう場所にあるのですか。

街中というよりは山の上の方で、生活圏内とは少し外れた場所にあります。私は家からキャンパスに行くまで、時間はそんなにかかりませんが、家の周りは晴れていたのに、キャンパスに着いたら雨や雪が降っていたということもあります。

――大学に入学してから免許を取って車に乗る学生さんもいますか。

全員ではないですが、います。免許や車があると行動範囲は広がりますよね。大学にも広い駐車場があって、車で通学することも可能です。

――生まれ育った場所を初めて出てみて、いかがでしたか。

出身地は千葉県で一人暮らしをはじめた頃は本当に不安しかありませんでしたが、大学に行き始めてからは、周りの人もとても優しいし、先生も密にコミュニケーションをとってくださる方ばかりで、楽しいです。地元の人も「農大生だよね」と、アットホームな感じで接してくれます。だから、不安は最初の1、2ヶ月ぐらいでなくなって、逆に今は住み心地がいいと感じています。

――住みやすいんですね。北海道は食べ物もおいしいのでは。

魚介類はとくにおいしいですね。私は元々ホタテが大好きで、北海道はホタテ漁が盛んだということを知ったのも、進学のきっかけでした。ホタテは本州で食べていたものより大きくて甘く、おいしくて、もっと好きになりました。野菜もおいしいですし、千葉に戻ったときには「北海道の食べ物はおいしいよ」と周りに宣伝しています。

――他の学生さんたちもオホーツクキャンパスライフを気に入っている様子ですか。

そうですね。先輩からは「4年間あっという間で、すごく楽しかった」という話を聞きますし、後輩も「楽しい」と言っています。「行って後悔した」という話は聞いたことはあまりありません。

――オホーツク地域唯一の大学キャンパスですよね。気候にはすぐ慣れましたか。冬が半年くらいあるような気候でしょうか。

そうですね。冬は結構長いです。最初はとても心配していましたが、意外とすぐ慣れました。寒いところなので、家の中やキャンパスの建物の中は暖かい作りになっているんです。それに、キャンパスの建物が全部、中でつながっていて、一度入れば外に出なくていいので、雪や雨が降っても濡れずに過ごせます。

藤原さんとオホーツクキャンパス

経営学の視点から幅広い分野について学べる

――北海道が気に入って住むことにした、という卒業生の知り合いはいますか。

北海道の空気感や街の雰囲気が好きになって、北海道内で就職した方は、私の知人でも何人かいます。

――藤原さんの進路はいかがですか。

私は一度地元の近くに戻って仕事をしようと思っています。就職活動は終わり、観光業の仕事に携わることになりました。

――内定おめでとうございます。同級生の方々も、就職は決まっていますか。

そうですね。農大なので、農協に就職する学生も多いですし、地元出身の学生の中には、実家の漁業の跡継ぎをするという人もいます。私のように本州から来た学生は、一度本州に帰って仕事する人も結構いますね。

――ホエールウォッチングの研究には、どのように取り組んでいますか。

羅臼町のホエールウォッチングについて研究しています。羅臼町はもともと漁業で栄えていた町でしたが、1990年頃から漁獲量が徐々に減少し、以前のような活気がなくなっていきました。そんな中、2005年に町の一部が世界自然遺産「知床」に登録されたことを機に、ホエールウォッチングのような自然を活かした観光業が少しずつ発展していき、今では、ホエールウォッチングが観光の柱となっています。そんなホエールウォッチングを持続可能な観光にするためには何が必要なのか、羅臼町のホエールウォッチングの現状と課題を、経営学と鯨類の保全の両面から研究しています。

――どんな方々に協力してもらっていますか。

今年から私の学科に来られた先生が、羅臼町でクジラの研究をしていたので、一緒に調査をしています。実際にホエールウォッチング船に乗船したり、知床羅臼町観光協会やホエールウォッチング事業者の方、常連のお客さん、地域住民の方々に幅広くご協力いただき、ヒアリング調査をおこなったりしています。

――研究で関わる地元の方々は、東京農大の学生だと言うと、協力的になってくれますか。

そうですね。大学の名前を出すと「網走にあるところだよね」と言ってくださったり、「どういうことをしているの」と聞いてくださったりして、協力的です。

――大学が地元での認知度もあって、地域の方々から信頼されているのでしょうね。

大学の名前を出せば「○○先生がいるよね」とおっしゃる方もいますし、「どこにあるの?」と聞いてくださる方もいます。皆さん興味を持ってくださるので、調査もしやすいです。

――進路を考えている高校生や、学び直したいと思っている社会人の方に、東京農大オホーツクキャンパスの良さを語っていただけますか。

キャンパス内でも、周りのオホーツク地域、北海道全体でも、地域の方々の優しさ、温かさを感じることができた4年間だったと思っています。

先生方は、どの学科であってもコミュニケーションをとってくださり、先生と学生の距離は近いです。それから、とくに理系の大学では学生がテーマを絞って研究に取り組むイメージがあると思いますが、自然資源経営学科は文系寄りの学科で、経営学的な目線から幅広い分野について学べます。私のように商品開発をやってみたり、ホエールウォッチングの研究をやってみたりと、何か1つに研究対象を絞らなくても、自分の興味関心に合わせて地域の課題などを幅広く学べます。

自分がやりたいことを先生に相談しやすく、先生が「だったらこういうことをやってみたら?」と提案してくださるのも、この学科の良さです。興味を持ったことに取り組みやすい環境だと思います。

――幅広いことに興味を持っている方に向いた学科ということですね。

最初から1つのことに絞って4年間取り組んでいる学生もいますが、1つに絞れなくても、幅広い視点から物事を見ることができるのは、自然資源経営学科の特徴であり、良さだと思います。

――そういう経験は、就職してからも役立ちそうですね。

卒業生は、分野も業種、業態も違う、さまざまな場所で働いています。幅広い学びから得たものが進路に表れていると感じます。