ビジネスエンジニアリング株式会社【IT人材育成には繰り返しの徹底研修に加えて実践で学びを積み上げ行くのが肝要】

7期連続の最高営業利益達成

ビジネスエンジニアリング(東証プライム市場上場。以下、ビーエンジ)は、「ERPで自社製の“MCフレーム”育つ。独SAP導入案件でも実績豊富」(四季報特色欄)と紹介される。ERPは一口で言うと「人・物・金・情報に係るバックオフィスの効率化・合理化を図るシステム」。独SAP導入案件とは、ドイツSAP社が開発した企業の業務効率化を進めるERPパッケージの導入プロジェクトを指す。

周知のようにDX化の推進が(とりわけ製造業の)優劣を決める要因と指摘される時代となった。DX化のかっこうの武器となるERPへの着目度が高いのも当然。ビーエンジの収益動向は、文字通りそんな時流を反映している。2020年3月期から今期計画まで5期間の「平均増収率は4・8%強、平均営業増益率は27・5%強」。かつ今期計画は第2四半期早々に「2・7%増収(190億円)、17・1%営業増益(38億円)、12円増配76円配」に上方修正した。代表取締役専務取締役CFOで経営統括本部長の別納成明氏は、「MCフレームの想定以上の伸びが一因」とした。

しかも2021年夏に発表した至27年3月期の経営計画を、7期連続の最高営業利益達成で前23年3月期に達成。新規に「売上高220億円、営業利益48億円、純益32億円」目標を掲げた。自信に満ちている。

そもそもビーエンジは、東洋エンジニアリングの一部門であった1989年にドイツSAP社と出会い、提携したことが現業の入り口となった。1999年に東洋エンジニアリングの完全子会社として設立されたが、間もなく東洋エンジニアリングが51%を保有する筆頭株主となる。その後、野村総研および図研が第2位の株主となった時期もあったが、東洋エンジニアリングの景況悪化のタイミングで、株式は2社から図研(電気系CAD・EDAベンダー)ほか数社に売却された。現在の筆頭株主:図研との関係を別納氏は「業務上も良好な関係を維持している」と言及する。

質が高く豊富なIT人材

さて、そんなビーエンジでは社員のおよそ8割が、IT系人材で占められている。IT系人材はメーカーのDX化の進捗下で、「取り合い状況」にある。企業と個人(フリーランス)のマッチングサイトを運営するランサーズ(東証スタンダード市場上場)では、「DXの必要性は重々承知しているが体制整備には相応のコストが伴い、現実的に難しい。フリーランスとして登録しているIT系人材は引く手あまたなのが現状」とする。

ではビーエンジは、どのようにしてIT系人材を囲い込んでいるのか。またどう活性化しているのか。上席執行役員で経営統括本部副本部長の喜多井健氏は、言葉を選びながらも「スカウトや中途採用にも積極的に取り組んでいます。一度退職した者の再雇用もしています」とした。

ビーエンジのIT人材のハードルは、高い。例えば、アジアの成長国:フィリピン/ベトナムでの事業展開を進めている。ERPを含めたITに関する文献の多くは英語であることから、スタッフは英語力を求められてもいる。

実際にその能力を高めるために、どんな施策が執られているのか。

『コアスキルと階層別研修のマッピング(2024年度版)』と銘打った、研修体系が社内資料として存在していた。それによると・・・

<入社1~4年目程度>ー「責任感/貢献度意欲」「業務改善/向上心」「セルフマネジメント」を植え付けるための研修が実施される。具体的には一般知識として「フレームワーク講座」「会計講座」が、また英語力の基礎講座として「語学力自己啓蒙支援策」を背景に「TOEIC/PROGOS」への挑戦。タスク遂行力を身に沁み込ませるためにOJTと並行して、「テクニカルライティング講座」「プログラミング講座」「ビジネス文書講座」の受講が求められる。

<入社5年目~9年目>及び<入社10年目以降>については、「必要な専門スキルが部署・職種によって異なるため、主にキャリア育成研修の中でスキル強化を図る」とのみ記されている。

人材の止揚手立

 ちなみにビーエンジのITスタッフが携わる事業は、3つに分類される。

  • 「ソリューション事業」-SAPをはじめとする他社製のパッケージ製品のシステムインテグレーション。
  • 「プロダクト事業」-MCフレームシリーズを中心とする、自社パッケージ製品の開発・販売・導入事業。
  • 「システムサポート事業」-システム導入後の運用・保守及びシステム開発事業。

 確かに、研修体制は整備されている。

 が、喜多井上席執行役員の言う「中計もそれを前提にしているが・・・当社のパーパスに共感を持ち、現業部門(顧客のニーズを把握し、顧客を開拓する)と連動した、人材ポートフォリオの構築がポイント」が全てを物語っていると言えよう。

 一口で言えば「顧客ニーズを正確に把握し、対応しうるシステムを提案しうるかどうか」こそが、肝要。また仲間の残した実績に対し「評価」をしつつも、競争心を持てる実力を伴った人材を育てられるかが肝心。初期研修で足場を固めた上で、現場で切磋琢磨し合うことこそが必要不可欠。その相乗効果が「中計の前倒し達成」「新たな目標設定」を実現しているとみる。

 コロナ禍では在宅ワークが進んだが、いまビーエンジでは「出社勤務も重要」として営業日の半分は出社するルールとしている。別納専務は一言、「ライバルの仕事を肌身で感じるのも、自らの成長の大事な糧だから」とした。(IT人材という)プロ集団には、それなりの人材の止揚手立てがあるようだ。